コラム|人材流動化の代替としてのM&A

廃業ではなく事業承継を選択すると、これまで従事してきた従業員の方々の雇用を守りることができ、高い社会的意義があります。

ただ、それだけに留まらない効果があります。

 

昨今ささやかれる「人材流動化」。国内では大量生産・大量消費の時代は終焉し、企業は常に新しい商品、サービスを提供していく必要があり、変貌する外部環境下で就業者が長年にわたり同軸線上で繰り返す業務は時に「生産性が低い」と位置づけられます。年功序列は崩壊し、現在は、多様な価値観、仕事に対する新しい取り組みができる労働者が求められ、その代表的な手法として「人材の流動化」が推進されています。

また、労働人口が減少していくなかで、女性活躍、シルバー、外国人の活用などダイバーシティも推進していく必要があり、かつてモーレツ社員と表現された一律の働き方を解消していくうえでも「人材の流動化」が求められています。

 

これらを実行していくで、手法は2つあります。一つは至極当然の労働者の「転職」。もう一つは、M&Aをきっかけとした労働者の就業環境、就業意識の「抜本的改革」です。

 

M&Aによる企業のオーナーチェンジが行われると、経営方針の転換、社内構造改革、予算見直しなど、内部の経営陣では実現できなかった「抜本的改革」を実現することが可能になります。その反面、今の日本企業風土では内部だけの経営改革は困難と感じている方が多いのではないでしょうか。

就業者にとって第三者の事業承継により、これまでずっとやってきた「やり方」が否定されることもあるでしょう。年下の人間に指示されることもあるでしょう。困惑し、時に理不尽に感ずることもあるでしょう。でもそれは、社内にいながら客観的に業務を見つめ直すこととなり、これまで実現できなかった「イノベーション」の契機にもなるのです。

また、これまで職場の「マイノリティ」というだけで活躍できなかった有能な就業者がフェアに活躍できる環境を創出することにもなるでしょう。

つまり、M&Aが「人材の流動化」の代替として機能を果たすのです。