コラム|IPO(新規上場)かM&A(事業承継)か

 

非上場企業が成長していき、オーナーがその株式を売却するには「IPO(新規上場)で市場売却」というのが、これまでのよく言われる手法でした。

IPOを行うには引受証券会社や監査法人とその準備を行い、期間は2年程度は必要でしょう。また、その間の監査報酬、弁護士報酬、証券会社の引受手数料(売り出す株式の7%程度)で10億円程度の費用負担も生じます。外部環境(主に新興市場マーケット)にも大きく左右され、年間200社近くが上場できる年もあれば、市況が悪いと実に40社程度しか上場できない年もあります。

 

ところが、中小企業にも「M&Aで売却」するという手法がいよいよ浸透してきました。アメリカでは、成長企業のほとんどは初めからIPOではなく、M&Aでの売却を狙っているとも言われます。国内でも「プライベートIPO」という単語も耳目に触れるようになりました。(余談ですが、IPOの「P」はパブリックを意味するので、著者はこの単語に違和感を感じます・・・)

 

M&Aでの売却を選択した場合、IPOより時間や費用負担が軽減できる、事業単位での売却(事業譲渡スキーム)も可能、一定以下の企業価値の企業も対象になる、などいったメリットがあります。また、昨今では、上場企業が未上場企業を子会社化するケースも多くなり、この場合の未上場株式は親会社株式を通じて間接的に市場で流通しているので、実質的には、上場企業並みの高い人材調達力、資金調達力、ガバナンスを享受することとなります。

 

中小企業における多様な資本政策が進展するということは、効果的なガバナンス、オープンイノベーションを生み出し、また、慢性的な企業には新陳代謝を促すことにもなり、企業と社会の成長を実現していくことでしょう!