コラム|企業年金に見る大企業の負債と期待するもの

今週は、国内有力メディア日本経済新聞に企業年金に関する興味深い記事が2つありました。確定給付に代表される企業年金は時代錯誤であり、レガシーコスト(負の遺産)として今後も対応策を考えさせられる次第です。

 

3月20日(火)日経新聞~東芝、年金譲渡により費用を早期に確定

欧州子会社の確定給付年金の給付義務(と資産)を譲渡することが発表されました。

この債務は、確定しているVested benefit obligation、現在価値に置き換えたAccumulated benefit obligation、将来従業員も含めたProjected benefit obligation などと呼ばれるものと推察されます。

他方、一般的に「債権」は不良債権なども含め、「割安」で譲渡することは多々あります。今回の「債務」を譲渡するというのはどういうことでしょうか?

そうです、つまりお金を払ってでも、その「債務」から解放されたいという趣旨で、債務譲渡は行われます。

東芝の欧州子会社は、将来の年金給付義務を回避するため、譲渡先に一定の金額を支払い、その給付義務を移転するのです。

 

3月22日(木)日経新聞一面~生保、企業年金の管理業務を「非競争分野」としてして統合

大手生命保険6社は、確定給付企業年金を始めとする団体年金の管理業務を、採算性が悪いという事由で業務をスリム化を行うことが発表されました。

生保会社も、金融収益が厳しい中で事業の選択と集中を進める必要があり、コスト削減の対象とされたのが「企業年金の管理業務」です。低金利のなか、この業務は収益性が低く各社で競わず6社で統合により経費削減を図ることとなりました。

 

大企業自身の企業年金負債の切り離しともに、委託先のコスト削減が展開され、団塊世代の大量引退を前に、各社がその対応を進めている構図となっています。

一方で、大企業がオープンイノベーションのために、ベンチャー企業、中小企業の買収やアライアンス(提携)を進めており、

・負債の圧縮、

・資産は(中小企業も含めた)外部へ

というトレンドがより一層強まることでしょう。