コラム|企業経営における現預金

企業価値を資産から評価するとき、現預金、設備、不動産など資産がどれほどあるのか査定します。

このうち現預金ですが、効率的な経営をしている企業様においては、現金の量はさほど多くありません。逆の言い方をすると、現金を必要としない経営ができています。

 

ワーキング・キャピタル(Working Capital 運転資本)は、売掛金と在庫から買掛金を引いた金額です。現金回収は早く、在庫は少なく、支払は遅く が実現できると、このワーキング・キャピタルは少なくてすみます。お客様や仕入先と積極的に、強気で、交渉ができる企業は、現金に頼らず健全な経営が可能になります。

このようにワーキング・キャピタルは「金額」で表示しますが、他方、その回収を「時間」で表示することもあります。キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle 略してCCC)です。売上債権の日数+在庫の日数-仕入債務の日数で算出します。当社のクライアント様ですと、+30~60日ほどの企業様が多いです。この日数が多ければ多いほど、そのための現金が必要になります。

 

日本で特にiphoneのブランド力のあるアップル社は、このキャッシュ・コンバージョン・サイクルがなんと▲(マイナス)20日ぐらいです。マイナスとは、事業拡大に伴い、手元資金が増えていくことです。販売時にはそのブランド力を持って強気で「前払い」してもらい、仕入においても在庫は持たず、更に鴻海などのEMSにもその信用力で仕入の支払いはずっと先に。

(アップル社の決算書)

https://investor.apple.com/investor-relations/financial-information/

iphoneといった商品力だけでなく、この経営力により、手元資金(現預金+換金性有価証券)30兆円超という潤沢な資金を手に入れているのです。

 

なお、アマゾン社もこのキャッシュ・コンバージョン・サイクルはマイナス。これらのリーダー的な企業が外部資金を必要としない環境であるということです。金融緩和により貸出金利は低下したままですが、その低下は政策だけではなく、事業者の「資金需要」が時代とともに縮小しているものと感じています。