コラム|大企業と中小企業の決算書の「違い」

 公認会計士と税理士って「何が違うの」

 

大企業も中小企業も「決算書」がありますが、決定的な「違い」があります。

「決算書」の目的が異なるためです。

 

大企業:株主、債権者向けの「投資情報」を正しく表示する

中小企業:税務署向けの「税金計算」を正しく計算する

 

大企業は、所有と経営が分離されていますので、経営陣の私的な費用も認められません。これは損金不算入と言う意味ではなく支出そのものが企業統治において認められないという意味です。「会社の私物化」は、中小企業(所有と経営が一致)の場合はさほど問題がないですが、上場企業においてそのようなことがなされていれば、株価暴落、経営陣への責任追及など社会的問題に発展するでしょう。

また、簿外債務がないよう将来の退職金や保証債務、リース債務なども表示されていますし、資産についても、実在性が本当にあるかどうかを確認したうえで、その適正な金額を表示しています。

 

一方で、中小企業の決算書はあくまでも税務申告のための補足資料に過ぎません。当該年度の申告する所得を計算するうえで、私費であろうと損金にできるものは費用に含まれていますし、将来の債務については、損金に認められていないものは、損金にも債務にも計上されていません。また、資産についても、市場価値(Fair Value)と乖離があっても損金計上できなければ、その資産も取得金額(Book Value)で計上したままです。

 

このため、大企業、中小企業のどちらの「決算書」が正しいわけでもなく、それぞれの目的によって作成されているということを理解したうえで、M&Aや企業評価にあたらなくてはならないのです。

 

スポーツカーとトラック。どちらが良い車、正しい車というわけではありません。一見、エンジンがあり、タイヤがあり、人が操縦できる「車」と呼ばれてはいます。それぞれ目的に応じて、一定の労力を投じて、製造され、検査され、世に送り出されており、その特徴をユーザーが活かして「利用」するということです。

 

なお、上場企業ももちろん税務申告をしています。但し、私たちが目にすることができるものは、「投資情報」として開示されている決算書であり、税務申告上の決算書は開示されていません。