コラム|決算書 心構え

M&Aの対象となる企業の決算書は、売却側、買収側の双方にとって重要な要素に位置づけられます。

そこに、会社の財政状況、収益状況が数字として表示されているはずだからです。

しかし、この期待を裏切っているのが中小企業の決算書です。

 

中小企業の決算書は「税務上」の決算書類です。

この特性の例として・・・

  • 事業に関係のない費用(例えば、社長の生命保険)も、税務上で損金として認められそうなら計上されている。
  • 逆に、実質的に回収不能な売掛金が、損金に計上できないため資産に計上されている。
  • 売上も含めて消費税込で表示している。つまり、今秋の増税になれば、自動的に増収になる。
  • 現金売上の一部を社長がポケットにいれており、売上に計上されていない。←脱税です。

などなど、多数。

 

このため、M&Aにおいて準備された決算書には売却側、買収側で「心構え」が必要です。

 

売却側は・・・

  • 事業の収益性、買収側が判断できるよう、適正に表示し直す
  • 税務上は必要とされないが、買収側への説明として部門別、商品別の収益性を表示する
  • 私費と公費を仕訳し、事業に関係のない私費は控除する
  • 簿外の負債(原状回復費用、連帯保証、退職金、残業代未払いなど)を見直し、買収側に説明する

 

買収側においても・・・

  • 節税のために赤字にしている場合もあるので、表面的情報で「収益性が低い」と判断しない
  • 資産に計上されているものが、同額の資産性、換金性があるのか判断する
  • 負債に計上されていない、簿外債務の存在を確かめる

 

中小企業の事業承継、M&Aが活発に、スムーズに進むよう、税務上の決算書がより企業会計基準に近づいていくことを望みます。